平成28年5月7日

コラム気づきのココロ 回 コミュニケーションスキル.それは思い遣りの心です

 

colum_1-1今となっては証明する要素は朽ちましたが、容姿端麗、身長158㎝以上、視力1.0以上に加え、30歳定年、それ未満でも結婚したら退職など、男女雇用機会均等法が定着した現在、信じられない採用規則があった時代に私は日本航空の客室乗務員として4年間勤務しました。

 

徹底して叩き込まれたのは「お客様は神様です。一期一会の精神で」

半年間の訓練は英会話、接遇マナー、食事サービス、緊急時対応はもちろんのこと。救急処置、ベビーケアに至るまで数々の難関がありました。

 

当時、CS(顧客満足)やCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)などの言葉はありませんが、サービスの概念はきちんと明確化されていました。

10把一からげのサービスはサービスではない。一人ひとりに心を込めて「さあ、○○様、お召し上がり下さいませ」と、お客様の立場に立ったサービスは万古不変と言えるでしょう。

 

約4年間の国際線勤務を終えて寿退社。1984年の暮れ、JAL時代の教官より、つくばで開催する国際科学技術博覧会(1985年)のコンパニオン620名を教育・管理する女性を探しているので、担当してもらえないかとの突然の連絡がありました。人材教育は未知の世界でしたが、新たな挑戦をしてみることにしました。

 

再びJALの訓練所で教育のための講習を受け、万博期間中その勤務に励んだのです。

当時、日本の国際博ではコンパニオンのストライキが常態化しており、女性が同性を管理することも極めて難しい時代でした。

それでも大過なくやり遂げたのは、スタッフのプライベートにまで踏み込んで親身に話を聴くという女性管理の秘訣があったからです。

これは接客にも通じることで、女性からのクレームはじっくり話を聴くことにより約7割が解決できると言われます。解決策など不要なことも多いのです。

 

colum_1-2こういった経験をどうにか活用できないか、そう考えて起業したのがEMMY(エミー)でした。

今年で早や29年目を迎えます。

教育業は過去、多くの様変わりを見せています。

87年頃からバブル崩壊までは大手企業でも接遇教育担当を置くところはほとんどなく、そのため新入社員の季節になると社外講師として東奔西走したものです。

 

1週間を超える長期研修もあり、バブル最盛期は採用人数も多かったため会場を抑えるのに一苦労。自動車会社の営業マン・ウーマン、百貨店の受付・販売員、銀行マンなどが意欲的に受講してくれた時代です。

景気が後退局面を迎えると3K(教育費、交際費、広告費)の節約が言われ始め、研修を継続する企業と止める企業とに分かれました。

逆にこれまで接遇に無関心だった製造業、地方自治体などからの依頼が増えました。

現在では業種、職種を問わず接遇研修、コミュニケーション研修、リーダーシップ研修、クレーム対応研修などの依頼を受けるようになりました。

ITはこの30年で大きな進歩を遂げましたが、これらを扱うのはすべて人、「企業は人なり」と言えるでしょう。

 

これからの時代、以下の3つの要素に磨きのかかった人材育成を心がけて頂きたいと思います。

 

1.専門的な知識、技術、技能の向上

ITの普及でリアルタイムの情報が取れる時代。顧客は事前調査をしてからサービスを受けたり、物を購入したりします。常に顧客以上の知識、技術を持っていることが大切です。

 

2.感性を磨く

「目が利く、気が利く、身体が利く」3拍子揃った人材に!

「できますか?」⇒「できます」、「ありますか」⇒「売り切れました」などのような

応対は中学生でも、高校生でも出来ます。相手のニーズを的確に捉えた提案型の人材でなければなりません。そのためには問題意識を持って仕事にあたらなければならないのです。

ところが仕事に慣れてくると、頭を使わず身体が動くようになります。また、毎日働いているところは汚れていても、雑然としていても見えなくなります。見る、聴くは目や耳ではなく「こころ」なのです。常に見ようとする意識、聴こうとする意識、つまり問題意識を持って仕事をするといろいろなことが見えてきます=目が利く。こうしたら良いと気も回るようになります=気が利く。そして行動に移す=身体が利く。

 

3.コミュニケーションスキル

「コミュニケーションスキル」つまり人とうまくやれる力が必要です。沢山の知識を持ち、

感性が豊かでもそれを表現する力がないと相手に伝わりません。

ビジネスマナー(第一印象、立居振舞、言葉遣い、電話応対、来客応対、訪問のマナーなど)、クレーム対応、説得力のある話し方、傾聴の仕方、顧客心理、顧客別対応、アサーションなど多くのコミュニケーションスキルを身に付けさせて、どんなケースにも、どんな顧客にも対応できる多様化時代にふさわしい人材育成が不可欠です。